Girls

□祝☆雲雀誕生日記念フリー小説第二弾(2009/05/05)
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※性描写有り。
執筆終了から掲載まで大分空いてしまい、大変申し訳ありません(土下座)





――ドゴオォォッッ!!!





地をも揺るがす様な轟音に目が覚める。


すかさず跳び起きようとして身動ぐ事しか出来ず。
不審に思い我が身を見遣ったところで、その理由(ワケ)を知る。

「んなっ!?」

後ろ手にされた両手首、投げ出した両足首共にきつく縄が縄れていた。
ちょっとやそっとでは解けそうに無い。


……どういう状況だ、これは。





「――ちゃおっス。目が覚めたか?」





訳を知っていそうな人間を手近に一人見つけた。

聞き慣れたその声に何とか身をよじり、顔を向ければ。
己の元家庭教師が直ぐ側の壁に寄り掛かり、ニヤニヤと質(タチ)の悪い笑みを浮かべている。

「リボーン、これどういう、」
「直ぐにわかるさ。――お。そろそろ近いな」

言われて耳を澄ませば、轟音が先程より近い。
というか、半端無く近い。

リボーンはこの轟音が『何』であるかも、
何故こちらに近付いてきているかも知っている上で、どうやらここを動く気は無いらしい。




そして、俺を自由にする気も無い。




「……どういう状況かぐらい教えてくれても、」
「今日は何日だ?」

突然、こちらの質問も無視して問われた内容に僅か顔をしかめる。

「――5月5日。リボーンだって知ってるだろう?雲雀さんが来るんだ。これ解いてくれよ」


よく理解してるだろう筈の質問を、
わざわざこの場面で問うその意味は?





「 毎度毎度同じ内容じゃあ、折角のイベントもつまらねぇ。

――たまにはちょいとキツめのスパイスも、必要だと思わねぇーか? 」





――良くない予感が、俺の超直感を刺激する。





「…もしかしてさっきから聞こえてるこの轟音って」
「『雲雀VS守護者&その他諸々』ってとこか?お前等揃って下心持たれまくりだな。――しかも、癖のある野郎ばっか」

数集まった割には早かったなぁ、とか。
暢気に零す男とは対照的に血の気が引く。

「大変だ雲雀さんッ!、」

縄も解けぬまま横たえられたソファの上でもがく自分。

それを面白そうに眺めはするものの、
相変わらず助ける気の無い非情な元家庭教師。



「……これが世に言う『まな板の上の鮪』か?」
「鯉だろ!誰が鮪だッ!!」



なんて暢気に突っ込んでいる場合じゃない。

彼は怪我をしていないだろうか?
……いや、この場合彼の相手をしている己の部下の生命の危機を案じた方が正しいのか?



どちらにしてもこのままにして置けない!



「リボーン解けよ、雲雀さんがッ!、」

「――来たぞ。」

「は、」





バンッ!!!!





リボーンがそう口にするや否や、蹴り開かれた扉の向こうから現れる。
――漆黒の痩躯。



「ちゃおっス、雲雀。出迎えのセレモニーはどうだった?」
「弱い草食動物がぞろぞろと……、話にもならない」
「雲雀さん!」



狂暴な輝きを宿した双黒に射抜かれる。
どうやら怪我は負っていないらしいが、
機嫌は頗る悪いらしい。

ダークスーツのあちこちには真新しい赤黒い染みの数々。
――誤って誰か殺していやしないかと、不安になる。

「――お陰で欲求不満だ。血がたぎって仕方無い。……最後は君かな?赤ん坊」
「悪いが俺は『報酬』の護衛役だ」

武器を向けた彼にそう返すと、
リボーンはちらり、と俺を見る。


……何だその意味あげな視線は。


「――今日は特別に戦ってやってもいい。俺も嫌だとは言わねぇ。……だがそうなると、雲雀。お前は目の前で大好物のメインディッシュを腐らせちまう事になるが、それでもいいか?」
「……」

思い至った様子で彼は何故かリボーン同様俺をちらり、と窺い、
そしてあっさりと武器を退いた。

「…素直だな。そんなに良いもんか?」
「君には彼の味は解らないよ。――解らせたくもないけど」





…………ん?
何かこの話の流れまるで、




「んじゃ後は、ごゆっくり。……ああそうだツナ、言い忘れるところだったが雲雀は戦闘前に精力剤を投与されてる。寝かして貰えねぇーだろうから、覚悟しとけ」




セイリョクザイ?




「……さっさと出て行ってくれる」

暗に邪魔、と告げた彼にリボーンははいはい、と肩を竦めつつ部屋を出て行った。
代わりに近付いてくる、数ヶ月振りの想い人。

「…綱吉、」
「え、あの雲雀さ、」

皆まで告げる暇すら与えられなかった。
ぐぃ、と後ろ髪を鷲掴まれて引き上げられ。
噛み付く様に口づけられた。

散々口内を荒らされたかと思えば、
どさり、と乱暴にソファの上へと戻される。

「ひ、雲雀さ、」

今度は仰向けに倒れ込んだ為、相手の顔を窺うにも苦労する事は無い。
けれどそれを数瞬後には嘆く。

「綱吉…、」

彼は異常だった。

目は潤み焦点が合わず、
尚且つ頬は赤らみ、呼吸も荒い。

力任せに左右に開かれたスーツとシャツの奥から覗く肌は汗で湿り、そして。





「…っ、な、ななッ、」





――そこには在る筈の無い、円やかな曲線を描く双丘まで。





「何で!?どうしてっ!?どうやってそういう結果にッッ、」
「赤ん坊がくれた精力剤のお陰。…ふふっ。これで僕が孕んだら、綱吉。僕以外に愛人も婚約者も要らないよね?」

最高のプレゼントだよ、と口にする彼……いや彼女はかなり本当に嬉しそうで、
そしてかなりのプロポーションの持ち主だった。


めちゃくちゃ色っぽい。
かなり美人。


さっきまでは不安要素とか事態に混乱してて視覚からの情報が正常に脳に届いていなかったから解らなかったが、本当に綺麗だ。
しかも加えて言うなら健康な青年男子(数刻前までは彼もそうだった)の目の前で上を露出させてみせたばかりか、下肢を纏う衣服まで脱ぎ捨てて。





白くて魅力的で柔らかそうなその曲線美を、
惜し気も無く俺の目の前に剥き出しにしている。





「ねぇ、作らないよね?僕以外に女なんて」
当たり前です元から作る気無いですッ!!ってか雲雀さんお願いだから隠しッ、」
「良かった、嬉しい。――っ、駄目ッ。 もう 我慢出来無い………ッ、」


何が、と問う余裕は既に無かった。


四肢を拘束されたまま下肢だけ剥かれて跨がられて、
ろくに馴らしもせずに突っ込んだ彼女に青ざめて。



後はもうめちゃくちゃ。



苦痛を覚えている癖に無茶な挿入を繰り返す恋人に耐えられなくて懇願し、
やっと縄を解いて貰うと一度彼女の内(ナカ)から抜き去り、今度は慎重に挿し込んだ。




――あぁ…、やっぱり。




幾ら精力剤で興奮していて濡れていると言っても、案の定。
無理な挿入に彼女の胎内が傷付いていない訳は無かった。

血を滲ませるそこに己の欲望を突き刺す事は酷く罪悪感を伴ったが。

既に泣きながら先を強請り、
俺を求めてくる彼女の望みを拒む事など出来る訳も無く、腕の中へと抱き込んだ。




「っ、恭弥…ッ、平気…っ?痛く、ない…?辛くない……っ?、」

「ふ、ぁあっ、痛 く…っ、ないからッ、もっと…っ、もっとぉッ!」

「!くっ、」

「ほし…、欲しいの…っ、綱 吉の…、あかちゃ…ッ、ほしぃ…よぉッ!精子、いっぱ…ッ、かけて…っ、犯してぇ……ッ!」




啼き喘ぐ恋人が縋り付き、
健気に腰を揺らし誘う姿に、胸を締め付ける愛おしさ。


愛する人に求められて、舞い上がらない筈も無く。


後はもう、溺れるだけ溺れ込んで。
気付けば翌日の既に夕方。

朝まで本当に解放されず、
俺もまた恋人を手放せず朝を迎えて。

今は深く夢の中に沈む恋人の前髪を優しく払い、
額を覗かせたその寝顔を可愛い、なんて思いながらキスをして。
そっと囁く。





「……男でも女でも良いです。『雲雀さん』が居てくれたら良い。貴方以外なんて要らない。貴方が居てくれたら、俺は――――、」

「 うん。知ってる 」





聞こえる筈の無い声にぎょっとして見れば、
何時の間にやら彼女の双眸はしっかりと開いている。





「 ――だけどそれは僕が我慢出来無い。あの年寄り共に君が何を言われてるか、僕は知ってる。だけど男の僕じゃこの件に関しては君に護られて、足を引っ張るだけだ。それじゃ嫌なんだよ。君に僕以外の人間が宛がわれるのも耐えられない。 」





だからさ、

するり、良く知る彼のそれより細くて華奢な腕が絡み付く。





「 君の子供、僕に産ませてよ。 」





思わず涙腺が緩みかけたのは仕方が無いと思う。



最愛の人が受け入れられないのは悲しかった。

自分と共にいるせいで彼が謂れの無い悪意を向けられるのも、
貶られるのも苦しかった。

自由な彼を愛したのに、
その彼の足枷になってしまう自分が腹立たしかった。



そんな自分の為に、彼は 男である自身 を捨てた。

それが一時であるにせよ、
誰よりも誇り高く、最強と謳われた男が、だ。



これが泣かずにいられようか。





「 考えてみれば好都合だしね。君に群がる雌犬共も排除出来て、君の一生も手に入る。

――一石二鳥だ。 」





君にとって高くつくけど、 損は無いよ?

強引に見せかけて酷く俺に優しいその人は、
そう言って悪戯を愉しむ子供のように笑ってみせる。





「 プレゼントは君の薬指でいいよ。 」





あと、
君の遺伝子をもう一人分ね。


END

――Happy birthday,Kyoya Hibari!
 

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