† Novel †

□父の日に
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 父の日。


 「ですって、工藤くん。」

 「いやまて何故俺に振る。」



 現在居ますがデパート。
 勿論デートではない。

 (そんな恐れ多い!

 左手には某有名ブランドが数点。
 勿論貢ぎ物である。

 (神の怒りに触れたのさ!



 そこで交わされた会話。

 「父の日ですって。」



 可愛らしい宮野の笑みに何故俺はこんなにも警戒するのだろう、と思った。






 目の前には父の日フェアと大きく書かれたパネル。
 並ぶものは色取り取りのネクタイ。

 隣には微笑んだ宮野。



 「少しは親孝行でもしてみたら?」

 「いやいやいやいや、両親、海外。いないから日本。」

 (日本にいたとしても親孝行をするのかは疑問だ。


 「いるじゃない、お父さん的な人なら。」

 「親父的なもの…?」

 はて、そんなものはいただろうか、
 博士、にはまぁお世話になってはいる。
 しかし父の日… には似合わないのは気のせいか?


 「ほら、毛利探偵に目暮警部、中森警部。」

 「……………え?」

 「忘れたの? 小さい時もあんなにお世話になっといて、」

 確かに、コナンの時は色々と……、

 「音楽の授業を逃亡して、毛利探偵に捕まえられたり、」

 (忘れてくれそんな過去!

 「父兄参観に駄々こねて、目暮警部に来てもらったり、」

 (思い出さないでくれそんな過去!

 「ボールだけ追いかけて、中森警部に注意されたり、」

 (実は川に落ちましたなんてそんな過去!


 「それに今だって、」

 まぁ、探偵業もあって……、

 「三者面談をサボろうとしたのを、毛利探偵がみかねて出てくれたり、」

 (いやだって、先生と二人じゃ、

 「事件が終わるまで一睡もせず、目暮警部が無理やり家に帰したり、」

 (いやだって、落ち着かないし、

 「ボールだけをまた追いかけて、中森警部が心配をして後をつけたり、」

 (いや、え? アレレ?



 「本当、お世話になっているんだから。」





 「………ネクタイ、何色がいいでしょうか。」


 (色々お世話になってます!!
 (きっと此れからもお世話になるでしょう!!
 (なんたって俺にとって父親のような存在なのですから!!










 父の日にネクタイ(に込めた感謝)を送りますお父さん。

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