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□9メートル先
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※下ネタ+下品なお話です。なにせトイレネタです。ご注意下さい。












リモートで着地したガンダムのハッチがゆっくりと開かれる。




地に足をつけた瞬間の安堵は4人とも同じだろう。
同時に同じ考えを持つ。

この島にトイレは1つ。

誰が一番にはいれるか。

それは彼らにとってとても重大なことだった。


刹那は震える膝に舌打ちをしながら居住スペースに設けられたトイレへ走り出だした。
あと8メートル、希望を胸に手を伸ばす。
「待ちやがれっ!」
ロックオンの声と共に飛んできたハロがゆくてを阻む。
「セツナ、マツ!ロックンサキ、モレル!モレル!」
手を広げ立ちはだかるハロを蹴り飛ばそうと構えると追いついたロックオンに腕を取られる。
「離せっ、俺に触れるな!」
「ロックンモレル!24サイモレル!」
「ハロ、頼むから黙ってくれ!」

あと7メートル、希望を求め手を伸ばす。
そうして立ち止まっている間にも後からティエリアとアレルヤが追いついてくる。
抜かされる瞬間、刹那はティエリアの腕を取る。
衝撃に揺れる視界に駆け抜けるアレルヤが映り手を伸ばす。
一人だけ、アレルヤにだけそうやすやすと行かせてなるものか。
「殺すぞテメェ!」
ハレルヤだろうが行かせてなるものか。

あと6メートル、希望を前に手を伸ばす。
彼等の思いはひとつだ。それ故譲れない。
ロックオンは刹那の、
刹那はティエリアの、
ティエリアはアレルヤの腕を掴み離さない。
早くこの思いから開放されたい、この時間が無駄だと言うことは誰もがわかっている。
だがこの手を離せば一体誰が最初に入れる。
先に見えるトイレは光輝き神々しく見えた。

あと5メートル、ロックオンは火蓋を切って落とした。
「皆大人になれよ、こんなことは時間の無駄だ。」
肩を竦めて平常心を装う。
「ここは仲良くな、俺に譲れ!」
15時間に及ぶ戦いに擦り切れた精神はあまりに正直だ。
こうしている間にも身体は悲鳴を上げている。
今まで我慢していることを褒めてもらいたい。
俺に譲れよと声を挙げるが、はいどうぞ言うものは誰もいない。当然だ。
足元でそんなマイスターをあざ笑うかのようにハロが転がる。
「ロックンキケン!ロックオン・スカトロス!」
「ハロォ!!!!!!!?」
「ロックオン・スカ―」
蹴った。ロックオン・ストラトはス一番の相棒であるハロをなんの躊躇いもなく。全力で。
ハロはアーと高揚のない悲鳴をあげ飛んで行く。
「う、…」
しかしその代償は大きくロックオンは下腹部を押さえ倒れ込む。
「ご愁傷様だなぁ!」

あと4メートル、ティエリアは意を決して切り出した。
「俺は、僕は…私はっ」
悔しさに顔を歪め目を伏せる。
「生理なんです先生!」
搾り出すように理由を口にした。
その伏せられた瞳は涙で濡れている。
「誰が先生だ!どこの体育の授業だ!」
「ティエリア・アーデ!お前は付いてる!」
「そもそも関係ないよね、関係ないよ!」
ティエリアは膝から崩れ落ちた。
「クソッ、なんと言う失態だ!」

あと3メートル、アレルヤは振り返り微笑んだ。
「ティエリア。この手、握り潰すよ?(丈夫にできていますから」
ティエリアの手首を掴み微笑む彼はアレルヤだ。
これがハレルヤなら納得も出来る。だがアレルヤだ。
なんだこの恐怖!?思わず振り返った。
「ティエリア、手を放すな」
「そうだぞ、アレルヤだけに良い思いをさせてなるか!」
そこには不安要素しかいない。
「ご無礼☆」
終始笑顔のアレルヤの瞳が光を持った。
恐怖にティエリアの悲鳴が静かなビーチに響く。

あと2メートル、ハレルヤは叫んだ。
「アレルヤァアアー!?」
咄嗟に表へ現われたハレルヤはティエリアの手を放す。
「確かにエゴで引けとかいったけどこれ違くね!??」
違うよなぁと頭を抱えぶつぶつと呟く。
きっと脳内ではアレハレ会議が行われているに違いない。
助かったと自分の手を抱きしめるティエリアは戦意を失っている。
「野原でいいだろうが!男ならそれくらいしやがれ!!」
茂みを指して怒鳴る。
「ああ?おっきいのだ?関係ねぇ俺はやってやるぜ!」
ハレルヤは大股で、それでも急ぎ足で茂みの奥へ消えていった。

あと1メートル、刹那は動いた。己のために。
敗北に平伏すもの、逃げ出したもの。彼らの犠牲は無駄にはしない。
砂を踏みしめ確実に進む。
あと0メートル、疲労に震えた指先は希望のドアをひいた。
ガチャリと施錠される音は勝者への福音か。
薄暗い個室は開放感と言う喜びをもたらす。
刹那・F・セイエイはこの紛争を終結させた。(大した行動もなく。)




数分後。
動く気配のないトイレ。
「やけに遅くないか…?」
「ああ、大きい方にしても遅すぎる」
いぶかしみ近付いてみると声がする。

「この世界に神なんていない…」
思わず見合わせる。

「このトイレに紙なんてない…」

呟かれた言葉に重い沈黙が流れる。
ああ、そう言うオチかよ、してやられたっ、
ロックオンの拳が砂に沈み悲しい時が流れる。

遠くから響く声だけはこの事実を知らない。
「僕は、人でなしだぁ!!」








+*+*+*
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいもうしません
だって15時間…ね!

でもアレルヤは笑いながらキレるタイプだと思います。
静かだからこその恐怖です。

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