歌詞。

□サヨナラの他に(明日香→佐江)
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『またね』




「明日香、またねじゃないよ
…サヨナラなんだよ」













月はかすかに、雲におおわれていた

「どこにいたってみんなこうして同じ月に照らされてるんだよ」

って佐江が空を見上げながら言ってた

今はどこか遠くにいる、佐江との日々がふと浮かぶよ





あの蒸し暑い夜に、2人でひとつの自転車にまたがってはしゃいでた
佐江の肩にしがみついて、一緒に笑いながら尖った月から逃げようとしていたよね


生暖かい夜風に包まれ
私たちふたりぼっち

少し怖くてぎゅっと抱き締めた
「大丈夫だよ」とかっこよく言う佐江をまた好きになった事を覚えてる





ねぇ佐江
サヨナラの他に、伝えたい事が溢れるくらいあったんだけど
悲しくないって、笑ってるふりで強がって言えなかったよ

サヨナラの中に、伝えたい事を溢れるくらいに詰めればよかった
今さらな事位分かってるよ

こすれ合う指が静かに離れていっただけ
ただそれだけの事
他は何も変わらない




あの日の夜の海では2人の声が、波の隙間で弾んでた

細い足で砂を散らして走って寝転んで笑いあった

夜風に吹かれて重なった足跡が儚く消えていくから笑って泣いた

かすかな仕草も
確かな気持ちも
分かりあえる気がしてたけど言葉足らずで不器用なことに怯えてた


あてのないことも
ありのままなのも
2人らしいよとおどけてみたけど、ずっとこのままいられないことも知っていた

怖かったから、逃げてたんだ







街中で聞き慣れた声を聞いた気がしても
見慣れた背中と会った気がしても
振り向かずにいたよ

きっと佐江は元気だから


今さら言っても仕方ないことも
今さら上手に言えそうなことも
悲しさの数だけ
優しさを抱えていくよ




サヨナラの他に
伝えたい事が溢れるくらいあるはずなんだけど
今頃余計な言葉はいらないね?


サヨナラの中に佐江との日々への、溢れるくらいの愛しさ込めて
今なら優しい気持ちでもう一度








『サヨナラ』






END

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