*Shiki* 4巻

□第94話
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 ファーヴニルの鱗は堅く、シュウとディランの攻撃はまったく通らなかった。
 どうすることもできない二人は、これ以上被害が出ないように相手の注意を自分らに誘い、攻撃を防いだり回避したりした。


シュウ「誰か来てくれないの? アタシ達二人だけじゃツラいよ!」

ディラン「きっと誰かが来てくれるさ! もう少し辛抱しよう!」


 たまに城の兵士が加勢してくれるものの、ファーヴニルの鋭い爪や尻尾に巻き込まれてしまうからあまり役に立たなかった。だから兵士達は周りに集まって待機している。
 兵士達は普通の人間だからあまり強くない。しかしディランだって普通の人間だ。それなのにシュウと戦い続けている。


ディラン「俺は鍛え方が違うんだよ。子供の頃から特訓特訓の繰り返しさ」

シュウ「だからマッチョさんになったのね」

ディラン「いや、まあ……そうだな」


 その時、どこからともなくバッサバサと羽音が聞こえた。
 また新たな敵かと身構えたが、そうではなかった。
 空を見上げると、ニールにぶら下がったハルキが手を振っていた。


シュウ「ハル! 来てくれたんだ!」


 シュウは嬉しくなって両手を振った。
 そしてハルキは徐々に下降していき、高さ四メートルほどという所でニールに放り投げられ、「ひゃうん」と悲鳴をあげながら地面に叩きつけられた。


シュウ「は……ハル〜ッ! ピクピクしてるけど大丈夫っ?」

ハルキ「い……痛いよう……。あのドラゴンチビ野郎め、並みの人間の俺にはキツいという高さでゴミのように捨てやがって……!」


 ニールはファーヴニルの目の前に降り立ち、槍をしまった。


シュウ「ハル、あの女の子は誰? 羽根とか尻尾が生えてるけど……」

ハルキ「ヘルボスの四天王のニール。よくわかんないけど助けてくれた」
 
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