*Shiki* 4巻
□第96話
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「ご飯系」
「パン類」
「ご飯系」
「パン類」
ここは懐かしいニルクの町。相変わらず食べ物の良い香りが町全体に広がっている。
町の片隅ではハルキとクリスが言い争いをしていた。昼食はご飯系にするか、それともパン類にするかというとてもくだらないことだった。
「絶対ご飯系がいいね。日本人はご飯が好きなんだよ」
「シャラップ、黙れ少年。お昼は優雅に洒落たパンを食べるべきよ」
「米は最高だよ」
「麦は天下一品よ」
「ライス」
「ブレッド」
「丼物が食べたい」
「私は玄米パンが食べたいのよ」
結局は米じゃん。横にいたマーサはとてもツッコミを入れたかった。
「ふん、いいもんいいもん。俺は俺でご飯系を食べてくるからね!」
「私だってパンを堪能してきますよーだ!」
「へーんだ!」
「べーだ!」
二人共精神年齢が低いのだろうか。
ハルキとクリスはさっさとどこかへ行ってしまった。
「まったく仕方ない奴らだ。俺はハルキに付いていってやるから、シュウはクリスを頼む」
「うん、わかった。じゃあまた後でねマーサ」
シュウとマーサは二人を追いかけることにした。
シュウがクリスに追いつくと、早速一軒の店に入っていった。なかなか洒落たオープンカフェだった。
「クリスさん、シュライを襲ってきたような魔物が現れたら大変なんだから、みんなで固まって行動しないとダメだよ」
「また現れたらサクッとやっつけりゃいいんでしょう? 大丈夫大丈夫。あ、すいません、カフェオレとカルボナーラをください」
あれっ、パンを食べたいんじゃなかったの……? しかし口には出せないシュウだった。