*Shiki* 4巻
□第100話
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力を得た。
今こうして自分の手の平を眺めているが、どうも強くなった気はしない。
しかし体の奥底の方から何か熱いものが込み上げてくるような、そんな気持ちはある。
「これで私も超強くなったのねぇ。あまり実感はないけど」
クリスが手を握ったり腕を振り回しながら言った。
「それは実際に戦ってみないとわからねえのかもしれないな。ちょっと試しに……」
マーサは屈んで床に拳を向けた。そして腕を振り上げ、拳を一直線に突き落とす。
拳はゴギャッという嫌な音をたてて跳ね返された。
「なにやってんのよバカ王子」
「いや、強くなったんなら床ぐらい叩き割れると思ったんだけど……イッテー!」
ハルキは精霊の鏡を燭台から取り出した。鏡の表面は鮮やかな虹色に光っていた。そして間違えて元の世界に帰ってしまわないよう急いで鏡をしまった。
すると突然辺りは光に包まれた。あまりにも眩しくて目を瞑ったが、目を開けた時には何故か神殿の外にいた。
「あれっ? 戻ってこられた……」
「なんかよくわからないけどラッキーね」
とりあえずもうここにいても仕方がないからニルクの町にでも行こうと思った時、四人の目の前にシドゥマが現れた。
全身汗びっしょりで、肌も服も切り傷だらけだった。
「どうしたの? 怪我しまくりじゃん」
「私のことはいい……。事情は追々説明する。それより力は得たの?」
「うん、まあなんとか……」
「じゃあ今からお前らをシュライに連れて行く。大丈夫、イリルという奴は既に向こうに連れて行ったから。じゃあ、行くぞ……?」
シドゥマはすらすらと詠唱をすると魔法を発動させた。シドゥマの十八番の転移魔法だ。
四人はあっという間にどこか見慣れた城……シュライの城にやって来た。