*Shiki* 4巻

□第103話
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 ツァルディーン島へ行くには近場の港から船に乗るしかない。
 用意された船は大砲などの武器を積んだ戦艦からただの漁船までと様々だった。人員が多すぎたため急遽一般人から借りたのだ。
 シュウもハルキを追うため船に乗り込んだ。漁船だった。

「船長さん、早く行って、早く!」
「お、お嬢さん、あまり体を揺すらないでくれ! 吐いちゃう!」

 シュウは船長の肩を掴んで前後に激しく揺らした。結果、船長は酔った。
 ナツメはシュウを落ち着かせ、とりあえず甲板で行く先を眺めることにした。
 周りにもツァルディーン島へ向かう船がたくさん出ている。それらの船にハルキがいるわけないのだが、シュウはつい身を乗り出して様子を伺ったりした。

「ハルキの奴はきっと一番先頭にいるわよ。だってバリアを破るんだから」
「ああぁ……、泳いでいってもいいかな? どうかな?」
「ダメでしょ。海にだって魔物はいるんだから」

 GOサインを出したら本当に泳いでしまいそうだ。
 空を見上げるとニールが翼を広げて飛んでいた。それを見たシュウは急いでニールを呼び寄せた。

「ねえ、アタシをハルのいる船まで乗せてくれない?」
「ヤダ。だって担ぐのは重いんだもーん」

 そしてニールはさっさと逃げた。

「あの竜っ娘……アタシとハルの関係がどうなってもいいっていうの?」
「そう思ってるんじゃない?」

 シュウはすごい勢いでナツメを睨んだ。ナツメは素知らぬ顔で「なんでもない」と言った。
 
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