*Shiki* 4巻

□第92話
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 聞くところによると祭りは二日後からやるらしい。その際パレードもやるんだとか。


ハルキ「馬車に乗ったティティーがみんなに笑顔で手を振るとか?」

ディラン「うん、そんな感じ」

ハルキ「でも気をつけないと反逆者が鉄砲でパーンって撃つかもよ?」

ディラン「そうならないように護衛をつけるさ。さてハルキ、祭りが始まるまでどうするつもりだ?」

ハルキ「城下でブラブラしてる。特にやることはないし」

ディラン「そっか。じゃあまたな」

ハルキ「あいよ」


 ディランは城に残って準備を手伝うらしい。
 ディランと別れた一行は各自自由行動をすることにした。
 マーサは城を見学すると言って再び城内へ、クリスはゆったりとした気分に浸ると言って喫茶店へと向かった。
 残ったハルキとシュウはお互いの顔を見合わせた。


シュウ「ハルは行きたい所とかある?」

ハルキ「特にないよ。シュウは?」

シュウ「アタシも……」


 沈黙。
 しばらくしてハルキが口を開いた。


ハルキ「適当に散歩でもしようか」

シュウ「……うん」


 とりあえずメインストリートを歩いてみた。
 ここの飾り付けは他の場所より豪華に仕上がっている。露店もたくさんある。
 準備をする人達はあっちを行ったりこっちに行ったり忙しそうだ。それでも楽しそうな様子で作業をしている。


「お〜い、そこのカップル!」


 誰かに呼ばれたので振り向くと、露店の準備をしていた見知らぬ女性が手を振っていた。


シュウ「か、かかカップルってアタシ達のことですか! や、やっぱりそう見えちゃう?」

女性「うん、とっても仲が良さそうだ。で、そんなカップルにちょっと聞きたいんだけど……」


 付き合っちゃいないけどね、とハルキは言いたかった。
 女性は長い赤い色の麺を一本取り出した。


女性「これ、グミなんだ。赤い糸みたいなグミ」

シュウ「ふうん」

女性「お二人さん、目ぇ瞑って」


 ハルキとシュウは言われるがままに目を閉じた。そして二人の口にグミ麺をくわえさせられた。しかしお互いそんなことは知らない。


女性「ちょっとそのまま食べてみて」


 ハルキはグミ麺をちょびっとずつかじった。ほんのりいちご味で美味しい。
 
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