□てんき雨
1ページ/1ページ

黒いアスファルトが、突然色濃く染まった。
空の色は青いままなのにも関わらず突然大粒の雨がざあざあと豪快な音をたててアスファルトを叩きつける。
生憎、天気予報でも予測されていなかった夕立に見回れた雲雀は何かを考える前にびしょ濡れとなり、重たい学ランは水気を吸いずっしりと肩に乗りかかる。
今更どうこうする気にもなれず、再び道路を歩く足を一歩前に出していた。

一歩、また一歩。

10歩もあるけば学ランは水を吸ってしたしたと水滴が落ち、白いシャツは肌に張り付き薄く肌色を見せている。
普段は猫の毛のような髪の毛も、今は重たい水に濡れてしっとりと頬に張り付く。

水分を含んだ髪の毛を耳にかけた瞬間、どうどうと降っていた雨はようやく終わりを見せた。
頭に響く重低音はどこか耳に優しい雨音へと変わり、濡れたアスファルトは太陽の光を反射している。
きらりと眩しい光景に雲雀は水の滴る顔を上げた。


「よぉ、恭弥。久しぶり。」


キラキラと光る水と太陽を纏い、雨に濡れた金髪が立っていた。




 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ