□情熱
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飛行機が飛んだ。
屋上でふと見上げた空にただ偶然に通りかかった飛行機だった。
それは曇り空の中にあっと言う間に消えていき、雲雀は不意に自分の家庭教師を名乗る外人を思い出した。

名前は聞いたけど忘れた。興味なんてなかった。
ただ、感じた事のない威圧感と強さだけが魅力的だと思った。
あの体をねじ伏せて赤く染め上げたいだけ。



そろそろ時間だ。彼が来る。

重たい腰を持ち上げ、雲の隙間から差し込む光の下に佇む。
重たい金属音が鳴り隠された凶器が反射してどこか遠くへ光を飛ばした。

なるほど、

自分でも少し可笑しかった。
僕が人を待つなんて。





END

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