□雪のソナタ
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しん、と降り積もる真白い雪にギシギシと足跡を刻む。
歩幅は変わらないが横に並んだ靴の大きさの違いは一目瞭然である。

横に並んだ金色の髪の毛は上を向かないと顔が見えなく、それが悔しくて雲雀は決して上を向かなかった。





「恭弥、恭弥。」




隣に並んでいたつもりの声がいつの間にか後ろから聞こえた。
ゆっくり後ろを向くと三歩下がった場所に彼がいて、手には雪玉が2つ。
手袋もはかずに握り締めているせいで指先は僅かに赤みを帯び、雲雀は思わず寒さに赤らんだ自分の鼻頭を一度拭ってみせた。
「なあ、見てこれ」
そう言うディーノの手に握られた2つの雪玉がひたりと合わさり、雪だるまができた。
相手の意図がわからない。
ディーノは再び雪の中に手を入れて先程と同じように雪だるまを作ってみせた。その間にも雲雀は待つことに飽きたのか背中を向けて歩きだそうとしていたものだから、ディーノはまた声を張り上げる。
「きょーや!できたから見てみろよ」
雪の静けさに少年のような声が響き、半ば呆れたように振り返った。


「ちゅ」


少し離れた場所でディーノが2つの雪だるまの頭を軽く押し付けた。目線は雲雀からは
離さない。
「これ、俺と恭弥な!」
にこにこと笑顔を浮かべる青年と、影が重なった雪だるまに少年は低く呟いた。
「…咬み殺す…」






end

去年考えたやつ。何考えてたんだ私。

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