□telephone
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じゃあ、またな。
そう言い残して、金色の太陽は雲の中へと消えていった。それは学校の屋上から見ていた。
昨日、繋いだ手。すらりと延びた指にゴツゴツとした掌の豆。彼の手はいつも温かくて、雲雀の掌にじんわりと馴染んだ。
その温もりさえ、強く吹く冬の風に奪われてしまいそうで、ぎゅっと手を丸めた。冬の寒さに、太陽を全て奪われていくような錯覚。
雲雀は強い風に目を細めて、それからもう一度掌を開いた。




「着いたぜ、イタリア」
それから彼から連絡がきたのは12時間後だった。夜中にきた着信、雲雀はとうの昔に床についていたが騒がしい着信音に否応なしに目が覚めた。
電話の向こうでディーノは明るく何かを話しかけてくる。昨日、耳元で話しかけてくれた声となんら変わらない声だった。
布団の中で一度寝返りをうつ。眠気が収まらない。聞こえる声に、錯覚。
手を、のばした先に、彼が。

「恭弥、またすぐにそっち行くから。」
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