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□キミのタメニ
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ピッ…ピッ…ピッ……
一定のリズムを刻みながら 波が動く
それに加え
ピチョン…ピチャン…
と 点滴の音が木霊する
病院の六階にある
小さな個室に ユウと二人
ユウは 俺をかばってアクマに殺られた
辛うじて息のあるユウを抱き抱え
必死に走った
そして この状況に至る
ユウは生と死の狭間をさまよっている
未だ意識は戻らず 今は生命維持装置でなんとかこの世に繋ぎ止めている状態だ
「俺のせいで…ユウが…」
ベッドの近くの小さな丸椅子に腰掛け 自分で自分を追い詰める
悔いても悔いても ユウは戻らず
呼んでも呼んでも 反応はない
「(いっそ、生命維持装置を外して…俺も死んでやろうか)」
病み始めた心は 死 すらも逃げ道になり始めた
ユウに絶えず酸素を送る呼吸器に手をかけた
「今…楽にしてやるさ……」
呼吸器を外そうとした
なのに 出来ない
手が動かない
頭の片隅に
「まだユウは生きてる」
という 望みがあったからだ
耐えきれなくなり 俺はその日 結局何もせずに自室へ帰った
「まだ生きてる」
と 自分に言い聞かせて…