小説

□無意識の世界
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誰もが寝静まった深夜の夜空


はるか上、雲より上の上空に佇む少女



──デオキシスの『るあ』─…




身長くらいあるだろうかオレンジと深緑の長髪を風になびかせ遠くを見つめる


何を見つめているのか

何を考えてるのか






誰にも分からない



「ここで何をしてるんですか?」

背後から聞こえた清らかな声
『ミスティック』の姿…


「貴女こそこんな遅くに何をしているの?」

優しく声をかけたミスティックにも容赦なく冷たくあしらう。

「私ですか?私、眠れなかったんですよ。だから気分転換に夜空をお散歩しようかなと思って…」

るあはミスティックの方に振り返る。そこには女神のように微笑んでるミスティックの姿。
桃色の髪は普段のようには結わえておらず風の思うままに漂っている。寝着のままらしく、ストールを羽織り天女のような趣をもっていた。
本人は気づいていないだろう

「それで、るあさんは何をしてたんですか?」

「私は…考え事を…」

ただ佇んでいただけ。
"無意識の世界"に浸っていただけ
ミスティックが声をかけなければ朝の光が瞳に届くまで浸っていただろう。

「るあさんの考え事。不思議ですね…」

不思議…?

「何故だ?」

「だって、るあさんは考え事がないようにてきぱきと動くし、なんたって何かに悩んでるようには見えませんし」

そう言ってクルっと一回転する。


私が…不思議…

そんな言葉を胸に突っかかる。


「あら?アスラさん?」

ミスティックの向いた方にはただ永遠と星がきらめく夜空があるだけ。

「あらら…見つかっちゃったか」

何もないその空間から声

空間が歪むと、そこから黒い翼を生やした『アスラ』が現れた

「折角、いつもと違ったるあが見れるかと思ったのにな〜」

「それで隠れてたのですね。私は最初からわかっていましたけどね*゜」

「ありゃりゃー。もう少し技を磨かなくちゃなぁ♪」

そんな会話を目の前で聞いていたるあ。嫌気が指したのか、その場から移動しようとした。

「るあさん、どこに行くんですか?」

「…どこでもいいだろう」

心配したミスティック。けど、冷たくあしらうるあ。

「折角ミスが心配してやってのに、そんな返事はないじゃない!」


…ギリッ


「うるさいっ!!」

るあの声が真夜中の夜空に響き渡った。アスラとミスティックは口を閉じた。
見つめているのは、2人を睨むるあの姿。

「私がどこへ行こうと勝手だ。」

「待ちなさいよ!」

アスラがるあの服を掴んだ。
反射条件なのか、紫の光沢のある棒を出すとアスラに向ける。

「邪魔するな」

手をアスラの方に向けると、中心から光の玉が徐々に大きくなっていく。

「…」

パァンッ


「…っ!?」

るあの手の先にあった光の球が急に破裂し消えたのだ


「…今は深夜です。大きな騒ぎになってしまいますよ」

微笑みながら、ミスティックは言った。



どうやって…私の攻撃を…



「帰りましょう?」


無意識の世界からの帰還

おかしな動作もなしに攻撃を消す



さすが…

世界の神 『ミュウ』


彼女の力が完全に開花したら…




「わかった」






 少女は今夜も彼女に救われた










END

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