忍者

□その日に思った
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お人形を抱えた一人の女の子が、じっと俺を見つめた。真っ赤な着物にアレンジをしてちょっと派手にした着物で身を包み黒い瞳でこちらを見つめていた。


「なっなんだよ?俺の顔になんか付いてるのか?」


自分のやった事を隠す為になるべく女の子から視線を外さぬように見つめ返しながら聞いた。


「何にも付いてないよ。ただ・・・」


女の子が、俺から視線を外し下を見た。そして俺の奥の物にひたっと見据えた。



夥しい血が、床を染めていた。床に転がってるのは、俺達と同じ人間。彼女は悲鳴を上げる所か逃げようともしない。


「何故悲鳴を上げない?こんなもの見たら普通悲鳴を上げるだろう?」


俺は慣れている。いつもこういう事をして見ていたから驚きはない。だが、彼女には、正直俺は驚いてる。



「いつか殺しちゃいたいって思ってる人が居るから悪い人が死んだって悲しくも可哀相とも思わない。悲鳴なんて必要ないし寧ろ喜んでる」



一瞬俺は、鳥肌と背筋が凍るようなゾッと感を感じた。何故なら彼女の口元が、ほんの一瞬だったが、微笑んでるようにも見えた。



刀を持つ手に力が、入った。怖い・・・恐ろしい・・・けどどこか悲しい瞳をしていた。何に悲しんでいる?そんな悲しい事が、あったとでも言うのか?彼女の口から出た言葉と瞳は全く一致しない。俺は、彼女の肩に自分の手を置いた。


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