しょーせつ


□不器用な二人
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今年こそ安全で平穏で好きになっちまったあいつからチョコを貰いたい。

今年こそ、なんて言ってしまっている時点でまだまだあいつに貰える確率は低いってことだ。
だが俺は貰うぞ。12日からアピール…いや遅いか。10日からアピールするぞ!

そう決意をして、握り拳を胸に当てる。確率は低い。だが俺は貰ってみせる!貰って……!



「今年は逆チョコが流行るかもしれないってー」
「俺らがチョコあげんの?無理無理、火とか使ったら絶対火傷する」
「とゆーか当日は俺ら外に出ることすら出来ないでしょ」



学校からの帰り道、ひたすら先頭を歩いて後ろには見えないように決意表明していた俺の耳に聞こえたのは三人の会話。
逆チョコだと…?

確か、あいつはチョコが好きだった。つまり、俺からチョコを渡しても喜んで飛びつく。上手く言葉で騙してお付き合いの返事を貰う……!勿論はいと言わせる!こ、これ良くね?!この作戦良くね?!


今年は逆チョコに決まりだな。


「ふふふふ…ふっはっはっはっは!必ず「はい」と言わせてやるからなぁぁぁ!ふはははは!」

「……恭平」
「ついに可笑しくなったか」
「あれ絶対独り言だよね。声でかいよ」



そうと決まれば材料調達だ!
……って、金がねぇ!

よーしバイトだバイトぉ!


「"「」"を使わなかったら聞こえないと思ってるみたい」
「完全に声に出してるよね」
「てか材料って何のことだろ」


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