ショート・ストーリー
□五日間の花
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入院生活三日目。
妻が子供を連れて見舞いにきてくれた。
子供が、僕の似顔絵を病室に飾ってくれた。
父の日という学校での課題だったのだと言う。
少し歪な僕の隣には、向日葵が大きく描かれている。
息子は誇らしげに言った。
『父さんは花が似合う。』
そうかそうか、と頭をくしゃくしゃに撫でると、少しくすぐったそうに首を竦める息子。
僕の中ではまだ混乱が入り乱している。
妻や息子との別れはまだ早いと思っていたが、こいつも男だ。
最後の前に、父親として、男として話を附けとかなければならない事がある。
胸の中のモヤモヤを押し潰して、妻に少し二人にしてくれる様頼んだ。
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