ロング・ストーリー

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─ここは─
─どこだろ─

─ぼくは─
─どうして─

暗い闇の中。上も下も右も左もわからない。なにもない。だけど何故が眩しい。
─ああ。そうか。ぼくは光の中にいるんだ。
光の中にしては暗い。だがその通りだった。人は『闇光』ヤミカリと呼ぶ。
この世に存在しない、黒い光のことだ。どこの世界の光なのだろう。それは誰にも分からない。だがこの光はこの世では意外に近いところに在る。

─かあさん。とうさん。
─ラキュア・ローズです。僕は、あなた方が愛したこの名を大切にしています。僕も自分の名が好きです。
この名の由来を、一度だけ訊きましたね。いつだっけ‥‥あぁ、七歳のとき。伯爵の所で、執事として働いてたときだ。
女のこなのに‥‥なんで執事なんだろう。メイドのはずじゃないの?ああそうか‥‥僕の顔が、名前が、男のこみたいだからだ‥‥そうでしょう?キルラ伯爵。伯爵夫人。あなた方は僕を好いてた。‥‥男のことして。
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