ショート・ストーリー
□プラネタリウム
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長い夜は、人の心を魅了する。星はいつでも空にいて人はいつでも地にいる。
「やった!とうとう一人暮らしだ!」
大学二年の近藤 猛は、
一人暮らしになるのだから誰に言っているかわからない程の大声で独り言を叫んだ。
恥ずかしい青年である。
彼は、一ヵ月前に彼女に振られたばかりで、落ち込んでいたところをこのアパートの大家(猛の祖母)に月3万円で貸すという心意気を見せてもらい、見事復活を遂げたわんぱくぼ・・・いやいや、わんぱく青年である。
「ここがあんたの新しい部屋だよ。好きにおし。」
四畳半のそこは、大の大人が住むにはあまりにも狭くて、しかし一人暮らしをするには十分だった。
「狭いよ婆ちゃん!」
「テレビとか置かなきゃ大丈夫よ。」
その日から、親のすねかじりがどれほど楽だったかが身に染みる様になる。
しかし、その楽より、もっと大きな楽が彼に訪れる。
それもまた、彼の運命なのだろう。