ショート・ストーリー
□君がいるだけで
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「なぁ、裏江洲町で殺人事件発生したんだってよ!」
小学校六年生の火賀壬 涼也がとてもキラキラした目で橘 祐樹の顔を覗き込んだ。
「嫌だ。」
「まだ何も言ってねぇ!」「言わなくともわかる!お前俺の霊力を使って心霊写真撮る気だろ!」
この二人は、小さい頃からの幼なじみであり、今ではオカルト部員(祐樹は涼也にむりやり入らされた)という立場に立っている。
幼い頃から幽霊や妖精等が当たり前の様に見える程の他人と比べるとずばぬけて高い霊力を持った祐樹の事を信じてくれる人は、今までずっと涼也だけだった。
「なぁ〜、行こう〜。」
「嫌だ。第一いるかどうかなんて分かんねぇだろ?」「だから俺らが最初にみるんじゃん!」
まるで当たり前の様に駄々をこねる涼也。
腹ァ、くくるかぁ。
ちぇ。明日から夏休みだったってのになぁ。
二人は、50km先の裏江洲町に行くための準備と、作戦を始めた。