ショート・ストーリー

□夏の記憶
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“大丈夫、また会える”
この言葉が頭の中から離れない。




夏休みに入りがけの、いつもと変わらない蒸し暑いある日、私はうんざりしながら街中を歩いてた。
「・・・はぁ。早く夏終わらないかなぁ。」
どちらかといえば冬が好きなせいだろうか、私は早く夏という蒸し暑いだけの季節が終わってはくれないかと幾度となく思っていた。そんな夏の嫌いな私がわざわざ外に出て歩いているのには訳があった。
私はある場所へと用があったのである。


「・・・あ、やっと着いた・・・。もう暑い。早く中入ろ。」



夏休みの宿題として出された読書感想文。その本探しをする為、私は古本屋へと来ていた。



「学校の図書館ではもう興味ある本借りられちゃってたし・・・。ここにあればいいんだけど・・・。」


独り言を呟きながら店内へとどんどん足を進める。
古風な雰囲気を漂わせている店だった。

かろうじて、クーラーが付いていたのでホッと一安心しつつ、本探しをする為、店内のあちこちを歩き回る。
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