ショート・ストーリー
□夏の記憶
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いつの時代の本だろうかと思わせる本がたくさんある。首を傾げつつ歩いていた私はつい、通路に沢山積まれていた本につまづいてしまい、本を沢山床へと投げ出してしまった。
管理人であろうか、中年の男性に睨まれつつ、
「すいません。」
と本を片付けようと私は必死になった。
すると、
「手伝いますよ。」
何時の間にいたのだろうか、若くて背の高い爽やか系の男の人がそう言った。
「大丈夫です、すいません。」
「でも一人じゃキツイでしょう。手伝います。」
半ば強引的な口調でそう言われ、私は恐縮しながらもその爽やかな男の人に頼む事にしたのだった。
「本当に有難うございましたっ。」
「別にお礼なんていいです。」
私より2、3は年上だろうか。大人な雰囲気を漂わせている、本屋で会ったこの人は望といった。
お礼も兼ねて近くの喫茶店へと入った私達だが、不思議な事に話が合い、結局その日は夕方になるまで話していたのだった。