ショート・ストーリー

□あなたはだぁれ?
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「ふばゃんてぃそ!!」
朝の十時。
桃子は、すっとんきょうな声を上げ、勢いよく跳ね起きた。

「ん〜、何の夢だろう。」
自分の声に似てた様な。
でも全然意味が分からず。

「う〜ん、確か大好きでごめん・・・だっけ?」
顎に手を当て、考えっぱなしの桃子の家に、ピンポーン、とインターホンの呼び掛けが響き渡った。


「誰っスか?」
こんな朝早くに人が来るなんて、


なんてずうずうしいんだ!
他人とはどうも思考がずれている桃子。
そんな桃子に構わず、家にずかずかと殴り込・・・入り込んで来たのは、
桃子の想い人、直人だ。

「おい、これはどういうつもりだ。」
明らかにこめかみでは血管が十字を切っている。

そんな直人にはお構いなしに桃子は彼の手のすぐ下を見下げた。

『今日の下着何色?』

変態行為。ストーカー。
この一言に対する感想は数えればキリがない。

「あ、それね、学校で手紙の書き方の練習って授業があったから、書いてたの。で、先生が『今日書いたのはかならず誰かに送る事。』って言ってたから、直人に送ったのー。」
平然と、べらべらと喋る桃子。
それに耐え切れる程大人ではない直人。

「だからってこんな内容を俺に送るなんて!」
「電話だったら恥ずかしいもん!!」

「この内容を考えるお前の頭が恥ずかしいわァ!!」
「私、直人の事好きだから直人の為なら何だってするんだから!」
「じゃ死ねぇぇえ!!」



こうして大晦日のプライドよりタチの悪いプロレスが始まった。




カーン!
おぉ、直人選手、始まっていきなり右フック!
女相手だろうが容赦はしません!!
桃子選手、負けじと勢いよくジャンプして、
出ました!必殺抱きつきキッス!!
直人選手、精神的にきつそうだ!!
嫌そうな顔をしながら、咄嗟に桃子選手の体を引き離そうとしている!

ぉおーっと!
ここでなんと、直人選手の爪が桃子選手の服に引っ掛かり、桃子選手のパジャマが音をたてて破れてしまったぁぁぁああ!!
寝起きである桃子選手、勿論ノーブラである訳で…


直人選手ダー―――ウン!


やはりどんなに嫌がってても、直人選手も男!!
出てくる鼻血を隠しもせずに、堂々と昇天していった!!






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