ショート・ストーリー

□告白
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「君の事を考えてると、夜も眠れません、」


公園の木に寄り掛かってブツブツ言う俺は、ひょっとしたら通報されちゃうかもしれない。顔だって赤いし、心臓が早すぎて息苦しいし。


だってこれから、こ、告白、しちゃう訳だし・・・(何で頭の中でまで噛んでんだよ俺!)


あぁあ、あの百戦錬磨と謡われてきた俺が!本当に!俺らしくない!!
今思うと元カノは両手両足使って数えても足りないくらいなのに告白なんて初めてだもんな。
うん、本当だっせぇ。落ち着かない。
落ち着け、落ち着け。









あの子に初めて会ったのは晴れて一日中暑い日だった。
他の女の子とデート中にも関わらず、俺の目にはあの子しか映らなくて。(それが原因で女の子に振られた)

顔もスタイルも凄くタイプで、急いで見失う前に追い掛けて、気付けば毎日電話するくらい仲の良い友達になっていた。
その友達がすげぇ気になって、他の女の子達にも目を向ける事は無くなった。
俺の日常は、彼女中心になったんだ。







『あのさ、明日、会わない?』
声が、震えた。
毎日電話するんだけど毎日会える訳じゃない。
たまに会えるけど、それは彼女から誘われて(前は他の子なら普通に誘えたのに)(情けねぇ、)

でも昨日は俺から誘って、あの子の嬉しそうな声に小さくガッツポーズした。



ただ、その嬉しそうな声が俺の胸を苦しめる。
きっと友達としてしか見られてないだろう。
あの子に全部伝えたら、この居心地の良い関係が壊れてしまいそうで、恐い。

でも友達のままじゃ余計に辛いから、この気持ち全部伝えたいから


次の日の告白に備えて枕相手に練習した。







『じゃあ君の、家の前の公園に行くね』

約束した場所に向かったのは20分前。
本当は拒否されそうで恐くて、勿論不安だってある。
あの子の町まで歩くのにこんなに弱気になるなんて、本当に俺らしくない。
でも、


(もし叶うなら)


彼女の事を、彼女の夢を守れるように、もっと強くなると約束するから、 
そのためにまっすぐに約束した場所へ歩いた。







「おまたせ」

いざ彼女が目の前に立つと、勇気が臆病風に吹かれて

散々予習した言葉も全て胸からどんどん溢れだして、忘れる

鼓動が熱い、痛い
こんな赤くなる俺なんて、本当に、本当にらしくない。
何か、何か言わなきゃ。



「、どうしたの?」


首を傾げてくる彼女が凄い愛しい。
あぁ、カッコ悪くてもいいや。
とにかく、君に聞いて欲しいんだ。




「大好きだ、」



大好きなんだ、
それ以上の言葉をもっと、上手に届けたいけど
どうしようもなく溢れだす思いを伝えるとやっぱ
“大好き”しか出てこない。



「君に、伝えたいことがある。

(胸に抱えたこの想いを)

うまく言葉に出来ないけど、」


どうか聞いてほしい。





          完
 

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