ショート・ストーリー

□恋するししゃも
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「ままー、帰ろ?」


子供に手を引かれるまで、私はスーパーの店員をずっと見ていた。
黒髪で緑のエプロンを着けたバイトと思われる若い青年は、笑顔というのを知らないのか客が通りかかっても決して笑うことはない。
接客という事は分かってはいるのか、軽く会釈はするようだ(だがやはり笑わないし声も出さない)。


「ままー、」
また子供に呼ばれ下を向くと、今度はもじもじしながらお菓子入りの玩具の箱を持ってきた。
ラムネ菓子は絶対食べないのに玩具は欲しがる可愛い子供にふはっと笑い、それも買い物籠に入れて私はレジへ持っていった。




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