ショート・ストーリー

□素直になれないコウモリ
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「こらっ、立花君、聞いているの?」
先生の授業は僕を寝かしつける為の子守唄として最後まで任務を全うしようとしている。
んん、中々良い働きをしようとしているぞよ。

「寝惚けて馬鹿な事言ってないで、早く起きなさい!!
あんた最後の最後まで私の授業寝て過ごすつもり??」


美人で聡明な杉浦先生は僕を最後まで起こそうとしていて、それを見ているクラスメートは最後の呆れ笑いをしている(あ、今先生に怒られた)



だって杉浦先生、僕が知りたいのはこんなんじゃないんだよ。
正直昔の人のポエム(短歌?一緒一緒)とか中国の人が勝手に人生の在り方を語ろうとしているおとぎ話(漢文?お経の間違いじゃねぇの)(っつったら先生に教科書で頭叩かれた)だとかには興味無いんだ。
なんていうんだろう、本当にこういうんじゃなくて、僕が知りたいのはこういうんじゃなくて、


学校生活が本当にこのまま終わるのか?ってこと。




美人で聡明な杉浦先生に聞いてみたら分るのかもしれないね?


「先生、質問」


珍しく僕が起き上がって手を挙げるものだからクラス中一瞬しん、と静かになった。


「最後までこのままで終わらせても良いんですか」



級友はぼけっとしているが、お前ら分かってんのか?
杉浦先生の授業はこれで終わりなんだぞ。



っていうか全部合わせて最後の授業なんだぞ。



「何が言いたいのかしら?」

「つまり、




皆で最後に昼寝しませんか?」


思い出に、と笑いかけると、クラス内では笑いの渦が巻き起こる。



先生がふぅっと溜息を吐くのを見計らったかのように授業終了の合図のチャイムが鳴った。

「今日はここまで」

先生の最後の掛け声がチャイムと生徒のざわめきにかき消される。





『放課後、教室で待っています』

教室から出て行く先生のポケットにメモをそっと忍ばせて、僕はSHLの支度をした。





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