ショート・ストーリー

□俺と夜空と同性の君
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「家に泊めてくれ。」

年上の親戚である千穂という女の待つマンションまで遥々来てしまった。
男の俺が女の世話になるのは少々恥があるが、まぁそこは我慢して言い切った。






「どうしたのよ、急に」


一応想い人である女の部屋に入れてキョロキョロしてると千穂が煙草を吹かして聞いてきた。
明らかに家出少年を見る様な目で俺を見る彼女。
確かに一昨年なんて全然女の格好してきたけど何もそんなに疑わしい目で見ないで欲しいな(傷つくから)。
ってか質問に答えなきゃ。
でもなんて言えば良いのだろうか。
只でさえ緊張してるのに頭なんて使わせるなよ。
えっと、えっと。



「あんたには関係ないじゃん。」

やっちまったぁああ!!
今のは無いだろ畜生!
顔に思い切り冷や汗垂らしてるのを見られたくなくて(ってか罪悪感から)目を思い切り逸らしたら目の前の大人に頬を手加減無しでつねられた。


「あだだだだだ!」
「この口か、この口がそんな小生意気な文字列を並べ立てるのか。」
「夢も何も無い事言うな!」


こいつ、本当に女か?
顔は良いけど性格にやっぱり問題あるな。
あー、でもこんな性格が又可愛いんだけど。
どっちにしろ今はそれどころじゃない。
千穂がまた失礼な事でも考えている顔してたのでエスカレートする前に止めてやった。


「何独り言呟いてるの気持ち悪いな」
「言ってねーよ!一言たりとも息すらもお前に向かって吹き掛けてねぇ!!」
「いや、失礼な言葉がひっついた吹き出しがほら、頭上に雲みたいに・・・」
「んなわけねーだろが!
人の考え勝手に想像するなボケェッ!!」




本当っに可愛いな。
頭小突きたくなるくらい。
こんなんじゃ女の部屋に入ってる緊張も忘れてしまうのではと少し不安になった。



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