遙かな夢
□ふと思えば・・・
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水鏡に映った月の光に
何故かあいつの寂しそうな顔が重なった。
別に頭から離れない訳じゃない。
いつの間にか何かに被ってあいつの顔が浮かぶ。
心地良い風が頬を撫ぜると、あいつの軽やかな髪がなびく姿が思い浮かび。
太陽の厳しい中に川の水が煌いたのが満面の笑みだったり。
ふと・・・
自分の手が穢れた血に染まったときは、何故かあの時のあいつの泣き顔が思い出された。
そうあいつは私の穢れた手を造られし物の手を触れて・・・泣いた。
「泰明・・・」
名に力があるのは陰陽氏としてどう言う意味があるか分かってるつもりだった。
自分の名を言われ。
それが言霊となって私を縛り付ける。
言霊か涙か・・・
あいつは不思議だ・・・。
私の知らない事を・・・
感情と言うのか・・・
早くあいつの顔が見たいと
一人歩く。
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