万感交交至る

□ミスターノット
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『赤く馨りますね』
「そのようで」
『嗚呼、死んでしまう』
「だから口は閉じておけと…」
『呼吸を再開してもいいと言うのですか?』
「勿論、黄色くならぬ程度にな」
『そうですか、その死骸は?』
「その色にするからいけないのです」
『失礼』
「…わかったよ、右目に血を通わすよ」
『それはそれは』
「笑えるのかい?」
『こちらの台詞ですが、』
「そうか、泣きはしないだろう」
『ありがとうございます』
「礼なら俺に言え」
『あなたにですよ?』
「また戻りたいかい?」
『あまり謝りたくはないです』
「じゃぁ…」
『でも、帰すことも望んではいません』
「それで許されるとでも?」
『虫の声が聞こえなくなってしまったもので』
「数えて来るのはいかがかな?」
『すでに』
「壁を壊して話しますか?」
『生臭いのですから』
「承知の上」
『垂らさなければ濁しても…』
「透き通るはずもないじゃないですか!」
『…おもしろいことを言いますね』
「戦争中なのに?」
『お腹壊しますよ?』
「確かに」
『二足歩行とか笑えますね』
「共感ができないのが残念です」
『知っていたけれど…』
「彩度がなくなりつつあります」
『気付けました』
「後戻りはできません」
『いや、ふりかえりましょう』
「…恐い」
 

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