Dream小説

□シャボン玉
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ふわふわ浮かぶシャボン玉。それを追い掛ける小さな子供たち。
その輪の中心に、彼は立っている。


「ねぇ、シーザー。なんか甘い匂いがする」
「あぁ、蜂蜜の匂いだろ」
彼は当たり前のようにさらりと言ってのけた。けれど、なんで蜂蜜の匂いがするのか、私にはまるで解らない。
…まさか、シーザーが蜂蜜を持っているとでも言うのだろうか?子供たちにあげるつもりで、ポケットにでも忍ばせている、と?
…いや、まさかそんな馬鹿な。(そもそも現代の子供たちが蜂蜜くらいで喜ぶ訳がない)

首を傾げた私に、彼はシャボン液の入った容器を掲げて見せた。

「この中に入ってるんだ。知ってるか?蜂蜜を混ぜると、シャボン玉が割れにくくなる」
「へぇ…」
知らなかった。ってゆーか、シーザーは何故そんなことを知っているのだろう?
…あぁ、でも確かに。このシャボン玉は、普通のソレより丈夫かもしれない。

指の腹を使ってシャボン玉を押してみたけれど、ソレは割れる事なく、奇妙に歪んで逃げていった。普通なら、パチンと弾けて消えているはずの衝撃だ。
不思議。
「…わっ、」
ツン、と。鼻先に飛んで来たソレを指先でつっつく。てっきりまた逃げていくと思った球体は、今度は逆に呆気なく割れてしまった。

不思議。
なんで今のは割れちゃったんだろう。
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