LOST

□イバラヒメ
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案の定五月は裏方で

裏方の仕事もぽつんと一人だった。

ほの暗い目をしていた。泣かれるよりも耐えられない。

唯一の友達の俺や香は役があり、相手に出来なかった。


一人のあいつを見ることが苦しくなり俺は劇の練習にいつしか出なくなっていた。


練習の時間は屋上でサボる。香や五月以外は俺を恐れていて咎めもしなかった。香はぎゃんぎゃんないてたが聞かないふりをした。



その日も屋上で空を眺めていた。



『…恭。』


『五月…。裏方の仕事は?』


五月は静かに首を横に振る。


『もう、いいよ。って言われた。』


『そっか…』


ガラスのような瞳。

五月は真面目だから。


きっとそう言われても納得していない。


俺みたいに清々したとは思えないのだろう。


五月以外の裏方はまだ仕事をしている。


【いらない】と言われた五月は誰を責めるでもなく自分を責めていた。









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