書架 3

□黒いマナー
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ベストセラー「負け犬の遠吠え」の著者が、生活のさまざまな場面での常識やマナーについて書いた「マナー本」。

このところ「日本人のしきたり」や「女性の品格」などの、日本古来からある伝統的なマナーに関する本が
注目されているが、この「黒いマナー」は、ちょっと違う。
本音と建て前で言えば、「本音のマナー本」。著者らしい毒があって笑える。
単純に「いい人」なだけでは、今の世の中渡っていけないんだよね〜っと思わず実感。

たとえば…
年賀状のマナー「本当に会う気が無いのなら、たまには会いましょうなどと余白に書かない」
返信メールのタイトル「Re:」の後は書き直してあった方が嬉しい
謝る時は、お洒落な格好ではなく、多少ダサ目の服装を選ぶ
などなど。
そのほか、結婚、受験、別れ、露出、ハゲ、悪口のマナーなどを著者独自の、
ちょっと意地悪に、鋭い切り口で、一刀両断。

この何十年かで私たちの(特に女性の)生き方は、かなり多様化した。
こういうときは、こうあるべきという形は失われ、何もかもが多様化し、人にも大きな格差が生まれた。
冠婚葬祭の本を読んで、なんでも解決できる時代は終わったと言っていい。
「黒いマナー」の黒は、腹黒さの黒。なんだか殺伐とした感じがしなくもないけれど……。
現代の、人間関係の繊細で複雑なお付き合いのルールにつまづいてばかりいる人には「黒いマナー」必読の書かもしれない。

ちなみに、著者の会社員時代の同僚だったという佐藤可士和の表紙は可愛くて必見。
どうやら「負け犬」の次は「猫」らしい(笑)

ちょっと気にかかったのは「自慢のマナー」の中で引用されている、
井上ひさしの「エッセイとはすなわち自慢話である」という言葉。
確かにエッセーやブログは一歩間違うと、ただの自慢話と受け取られることがある。
しかも著名な作家や有名人ならまだしも、一般人の自慢話なんてイタイだけ。
ならば、ブログも読者を笑わせてなんぼという気がしてくる。ちょっと反省……(笑)



2007.12.13

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