書架 3

□クローバー
1ページ/1ページ

『野性時代』掲載を単行本化。

双子の姉弟を主人公にしたラブコメディ。

わがままで思い込みが激しく男子にモテるための努力は惜しまない姉・華子、
冷静で姉の面倒見はいいけれど、自分のことになると少しだけ優柔不断で「大学院か就職か」で悩む弟・冬冶。
ふたりの恋と未来の行方を爽やかにせつなく描いた長編小説。


島本理生といえば、このところ暗い作品ばかりだったが、こんどは一気に明るくラブコメディ。
島本理生初のラブコメらしい。

双子の姉弟をはじめ、脇役も超個性的。
フラれてもフラれても、華子に明るく猛アタックする公務員の熊野さん。
冬冶を一途に想い続ける天然不思議キャラ雪村さん。
超自分勝手な双子の従兄弟の美少年。

誰もが青春全開な感じで、素直に応援したくなってしまう。
でも、そこは島本理生! トラウマになるほどの失恋を経験した登場人物あり、
強がってるけど本当は傷つきやすい内面を持っている登場人物あり、
家族とのコミュニケーションが上手くいかなかった登場人物あり、と、ただのラブコメでは終わらせない。

特にラストの冬冶の決断の場面では、恋に勉強にドタバタの学生時代を卒業し誰もが大人になっていくという、
淋しいけれど当たり前のことをしみじみと考えさせられる。


恋あり笑いあり涙あり、読んだ後ちょっと元気になっちゃう本。



2007.12.22

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ