書架 4

□やさしいため息
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社会人5年目の「まどか」は恋人は3ヶ月前に恋人と別ればかり。
親しい友人は無し、ランチはいつも一人。職場の飲み会にも参加しない。退屈な毎日の連続。

そんな中、行方知れずだった弟「風太」が4年ぶりに現れ、まどかの部屋に転がり込んだ。
弟は、姉からその日起きた出来事を聞き、それを日記に書いていく。
弟に対する見栄と小さなプライドから、時折嘘も交えながら語る言葉によって綴られた日記。
そこには悲しいくらい平凡で退屈な毎日が繰り返されているだけ。
それに気付いてしまったまどかの日常は少しずつ変化していく。
表題作ほか、全2編を収録。

「ひとり日和」で第136回芥川賞を受賞した青山七恵の受賞後第一作。
読みやすく、あっという間に読了。可もなく不可もなくといった内容。

ふとした日常の描写や感覚の表現は、時折ハッとさせられるほどうまいなと思う。
けれど、前作同様に登場人物にあまり魅力が感じられない。人物描写が希薄なせいなのか?
特に主人公が好きになる相手に魅力が感じられない。何故好きになったのかと疑問に思うくらい。

ところで・・・
最近の20代くらいの新人作家の描く女性主人公ってこういうキャラクターが多い気がする。
友達や家族や恋人との関係も希薄。現状に満足はしていないが、それを変える勇気も行動力も無し。
やる気がなくて怠惰で、けれど、それほど切実な焦りがあるわけでもない。
いわゆる「脱力系」というか、「ゆるキャラ」というか・・・

こういうタイプが主人公の話を好む人も多いだろうけど、どうも私の好みには合わないらしい。残念。
世の中、現実もこういう人ばかりになっちゃったら嫌だな・・・・・


2008.7.18

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