書架 5

□三月の招待状
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年下の恋人と同棲する充留のもとに、学生時代からの友人の離婚パーティの案内状が届いた。
パーティに集まった友人たちの動揺、苛立ち、新しい恋。男女5人の友情と恋愛を描いた長編小説。

大学で、共に青春の日々をすごした5人の男女。10代、20代と時間は過ぎ、34歳になった彼ら。
フリーライターとしてそこそこ成功している充留。
別れたり、ヨリを戻したりを繰り返している裕美子と正道の夫婦。
専業主婦の麻美。
学生時代、作家として華々しくデビューしたが、今は落ちぶれてフラフラとしている宇田男。
そして、三月に裕美子と正道夫婦の離婚パーティーの招待状が届くところから物語りはスタートし、翌年五月までを描く。

誰もが現在に何らかの不満を抱え、鬱々と日々を過ごしている。
平等に、そして残酷に時間は流れ、誰もが、あの頃のキラキラした時代を心のどこかで懐かしむ。
なぜ自分はこうなってしまったのか?一体どこで道を間違えてしまったのか?と自問を繰り返しながら。
けれど、過去の延長線に現在があり、過去があったからこそ、今の自分がいるのだ。
過去というものは決して、振り捨てて生きていけるものなどではなく、それさえも内包した現在を生きるしかないのだという事実に、やがて彼らは気付いていく。

派手な事件も起きないが、だからこそ彼らの姿はリアルで、時に心の中がザワザワと波立つような描写だった。
リアル過ぎて息苦しかった。

2008.12.11

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