書架 6

□螺鈿迷宮
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この病院は、あまりにも、人が死にすぎる――

東城大学に通う天馬大吉は、留年を繰り返し雀荘に入り浸るダメダメ医学生。
ある日、幼なじみの新聞記者・別宮葉子の策略にハマリ、看護ボランティアとして、黒い噂の絶えない碧翠院桜宮病院を潜入調査することに。
桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、終末医療の最先端施設としてメディアの注目を集めていた。
しかし、その裏側には恐るべき事実が隠されていた。
バチスタシリーズでもお馴染みの白鳥と姫宮も活躍するメディカルミステリー。



面白かった♪
バチスタシリーズの番外編って感じなのかな。
時系列でいったら、「ジェネラル・ルージュの凱旋」の後。
物語は、主人公・天馬と幼なじみ・葉子のコントのようなやり取りからスタート。
バタバタしている間に、いつのまにやら、潜入捜査官になっちゃう天馬くんが笑える。
前半から、登場人物が、なんだかみんなあやしい!
あっというまに物語の世界に引き込まれる。


前作の終わりで白鳥が桜宮病院の暗部に切り込むというようなことを言っている通り、この小説では彼の懐刀の氷姫こと姫宮が重要な役で登場する。
そして、相変わらずの「ミス(失敗)・ドミノ」っぷり。
その超人的なミスで、天馬大吉を不幸のトルネードに巻き込んでいく描写は笑っちゃった。


そして、そんなユーモラスな前半から、後半は一気に桜宮病院の闇に迫っていく。
終末期医療や死の在り方……日本の医療が抱えてきた闇の部分について考えさせられる。
読み終わってみると、今まで読んだ海堂作品の中で一番テーマが重かったかも。
人は「死」からは逃れられないものね。


それにしても、間違いなく続編が出そうなラストなんだよねぇ。
最後の1ページが衝撃的だった。あれってどういうこと?
やっぱりあの人物は………。そうなんだよね?
読んだことある人、誰か一緒に語り合いましょう(笑)


2009.4.11

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