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□不確かで、確かなもの。
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郊外。
小さな河沿いの土手を私はLと歩いている。
外は日差しがあたたかくて、まぶしさに思わず目を細める。
頬にあたる風だけが、つめたい。
さっきから、つなぎたいと思っているLのその手も多分つめたいのだろう。
「ねぇ、待って」
同じペースで並んで歩いていてもLはいつの間にか私より数歩先を歩いている。
それがいつも不甲斐なく感じる。
Lと同じ歩幅で、同じスピードで、同じ景色をみていたいのに。
Lは立ち止まる。
丁度、河のむこうを赤い電車が通り過ぎてゆくのをふたりで見送った。
「L、私ね。さいきんあなたといると苦しい」
Lは私の顔を怪訝そうに見た。
私は、この辺と手をぎゅっと握って心臓のあたりを示す。
自分でもよくわからない気持ちだ。
伝わっているのかいないのか、Lは困ったように笑う。
そうして静かに、諭すように言った。
「それは多分、一過性のものです。放っておけば直に落ち着きます」
ポンと頭のてっぺんを軽く撫でてLはまた歩き出す。
一過性…。
私は口の中で、その言葉を繰り返した。