ssB

□明日も。
1ページ/2ページ

その日はよく晴れた日で、電車に乗ってとなり街まででかけた。
ひと気の無い防波堤を歩いたり、ひと気の無い珈琲屋で、ゆったり珈琲を飲んだりした。
歩くときには時々手を繋いだりして、私はその都度どきどきしたりした。
自分のちいさな手と、Lの大きな手がくっついている。
(あったかい)

帰り道、再びひと気の無い電車に乗った。
「真希さん。肩をお借りしていいですか?」
「どうぞ」
存外ふわふわとした髪の毛先が頬にあたり、こそばゆい。
Lの頭の重みが肩にかかり、どうしてだか、そのことにひどくほっとしてしまう。
ガタンゴトンと小さな揺れがつづき、しばらくするとLはすうすうと寝息を立てていた。
向かい側の窓からは西日がつよく差し込んでいる。
Lを起こさないように、そっと首を動かしてLの寝顔を覗きこむ。
遊び疲れて眠ってしまうなんて子供みたいだと呆れつつも愛おしく思う。
思わずくすっと笑ってしまう。
しょうがないなぁ、可愛いなぁとか、そんな心持ちで。
ずっと今日が続けばいいのになぁと思う。
「L、」
名前を呼ぶ。
私はちいさく呟いた。
「今日がずっと続いて終わらなければいいのにね」
もそりとLが頭を起こす。
「起こしちゃった?」
「すこしうとうとしていただけです。それより今のは論理的じゃありませんね」
Lは寝起きとは思えぬはっきりした口調でそう言う。
私は「論理的?」と首を傾げた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ