長編
□2【桃太郎】
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化け物、化け物、化け物
あぁ、またか。
陽があるうちは表の
『芽衣』
として常に徳川と民の為に働き、陽が沈み江戸の城下が闇に包まれる頃になれば
『鬼姫』
として自分でもわからない
『何か』
の為に労につく。
毎日毎日決して変わることのない、変わってほしいようで変えられない、変えることの出来ない生活の中でほんの少しの睡眠という時間ですら私を休ませてはくれない。
まるで時を刻むのを止めさせてはくれないかのように。
思考を停止させ、唯一自分を忘れる事の出来る短い夢の中ですら私を追い詰める。
「化け物、化け物」
と
「お前はバケモノだ」
と
思考を止めるな
常に惨劇を思い浮べろ
お前は バ ケ モ ノ
なんだから
お前は
『 』
なんだから