恋物語
□大好きの重さ
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「わぁっ、可愛い!ありがと、日番谷くん。」
雛森は俺の贈った簪を頭につけて、鼻歌なんか歌い出した。
「ねぇねぇ、今度の週末の花火大会、一緒に行こうよ。私、この簪つけてくっ。」
「藍染でも誘って行ってこいよ。もし断られたら、変りに俺が行ってやっから。」
「ふえっ?」
雛森は鼻歌を止めて、目をまん丸くして俺を見ている。
俺は、顔を下げたまま資料に目を通し続けた。
「一番行きたい奴と行ったほうがいいんじゃねーの。」
「私が一番行きたいのは日番谷君だよ。」
「お前、この年になって二人で花火大会なんか行ったら、いろいろ勘違いされんぞ。」
「・・・いいよ、勘違いされたって。私、日番谷君好きだもん。」
はぁ!?こいつは馬鹿か。
「お前は、大部分の奴が大好きじゃんか。どうせ、嫌いな奴とかいねぇんだろ。」
「皆の事好きだけど、日番谷君は特別だもん。」
「はいはい、そうですか。」
この天然女は、俺だからいいものの、もし吉良だったら100%勘違いしてんぞ。
「もお、真剣に聞いてないでしょ。」
「そおいうのを家族愛とか兄弟愛って言うんだよ。」
「違うもん。」
筆を止めて、書類から目線をあげた。
お前が好きなのは、藍染だっていい加減教えてやろうか。
聞いてるこっちが、イライラすんだよ。
ってか、俺に言わすのかよ。
「雛森、お前が好きなのは、
「大好きって言う時、こんなにドキドキするのは日番谷君だけだよ。」
ほんのり頬を赤らめた桃は、俯いた。
もしかして・・・脈アリ!??
「・・・冗談だろ。」
雛森は控えめに俺を見た。
まだ、頬が真っ赤で、俺の心臓がドキンッと跳ねる。
「日番谷君のこと、好きなの。」
そう言って、俺だけに向けられた笑顔は、綺麗すぎて反則技だと思った。
「・・・おまえずりぃ。」
***fin