恋物語

□大好きの重さ
2ページ/2ページ

***

「わぁっ、可愛い!ありがと、日番谷くん。」

雛森は俺の贈った簪を頭につけて、鼻歌なんか歌い出した。



「ねぇねぇ、今度の週末の花火大会、一緒に行こうよ。私、この簪つけてくっ。」

「藍染でも誘って行ってこいよ。もし断られたら、変りに俺が行ってやっから。」

「ふえっ?」



雛森は鼻歌を止めて、目をまん丸くして俺を見ている。

俺は、顔を下げたまま資料に目を通し続けた。



「一番行きたい奴と行ったほうがいいんじゃねーの。」

「私が一番行きたいのは日番谷君だよ。」

「お前、この年になって二人で花火大会なんか行ったら、いろいろ勘違いされんぞ。」

「・・・いいよ、勘違いされたって。私、日番谷君好きだもん。」



はぁ!?こいつは馬鹿か。



「お前は、大部分の奴が大好きじゃんか。どうせ、嫌いな奴とかいねぇんだろ。」

「皆の事好きだけど、日番谷君は特別だもん。」

「はいはい、そうですか。」



この天然女は、俺だからいいものの、もし吉良だったら100%勘違いしてんぞ。



「もお、真剣に聞いてないでしょ。」

「そおいうのを家族愛とか兄弟愛って言うんだよ。」

「違うもん。」



筆を止めて、書類から目線をあげた。

お前が好きなのは、藍染だっていい加減教えてやろうか。

聞いてるこっちが、イライラすんだよ。

ってか、俺に言わすのかよ。



「雛森、お前が好きなのは、

「大好きって言う時、こんなにドキドキするのは日番谷君だけだよ。」



ほんのり頬を赤らめた桃は、俯いた。

もしかして・・・脈アリ!??



「・・・冗談だろ。」



雛森は控えめに俺を見た。

まだ、頬が真っ赤で、俺の心臓がドキンッと跳ねる。



「日番谷君のこと、好きなの。」



そう言って、俺だけに向けられた笑顔は、綺麗すぎて反則技だと思った。

「・・・おまえずりぃ。」

***fin
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ