恋物語

□あの日から聴こえる橙色のめろでぃ
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***


自分が馬鹿みたいに思えてくる。



たぶん、あの女の子は彼女。

なんで気付かなかったんだろう。

あんなにかっこいい男の子に、彼女がいない筈無いのだ。

只の幼馴染に、見送る資格なんてない。

それは、全部彼女の特権。



もし、この感情が恋だというのなら、

―――この恋は、もう終ったんだ。

気付くのが遅すぎて、何も始まらないまま終ったんだ。



彼女を抱いていた日番谷の表情が、頭から離れない。

日番谷君も、あんな表情するんだ。

出来れば、見たくなかったなぁ。



「ばいばい、日番谷君。」

私は、携帯電話のメモリーから、彼の“記憶”を消した。

ボタンを一つ押すだけなのに、涙が流れてくる。

やっぱり此れは、恋だったんだね。



自転車を押しながら歩く雛森を、上り電車が追い越して行く。



彼との思い出は、携帯電話のメモリーみたいに、消すことは出来ないだろうなぁ。

こんなに大切なモノなの、そう簡単に忘れられるわけ無いじゃん。

捨てはしない、忘れはしない。

ただ、心の奥底に、閉じ込めるだけ。



もう、見えなくなった上り電車は、彼を遠くに連れて行ってしまった。


***Fin
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