涼宮ハルヒの憂鬱

□ある晴れた日のこと
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放課後──。
珍しく静かなSOS団の部室は朱色の絵の具を垂れ流したかのように真っ赤な夕日に包まれている。
ハルヒは外部調査にと言い残して、宇宙人・未来人・超能力者・異世界人を探しに行った。古泉、朝比奈さんはそれに付き合わされている。
俺はSOS団のHPを更新しろと命じられた。
長門も外部調査とやらに誘われたのだが、何故だか動こうとしないので部室の隅で静かに小難しげな本を開いている。
俺は更新の合間にチラッと長門の横顔を見た。
改めて見る長門の横顔はとても美しいものだった。
白くて何の汚れもない肌。
少し童顔混じりの輪郭。
音も立てずにそっとページをめくる、細くて白い指──長門が突然,静かに口を開いた。
「何か私の顔に支障が?」
「あっ・・。いや・・・か・・かわいいなと思って・・。」
!?自分でも驚いてしまう一言だった。
「・・そう。」
夕日のせいだろうか、一瞬長門の顔が赤く火照ったように見えた。俺に少しは気が持てただろうか。
え?俺は何を考えてるんだ?
目の前のパソコン画面がぼやけて見える。

「貴方の隣に移動することを希望する。・・良いか?」
「・・・・・・・どうぞ・・」
めったに口を開かない長門の口からの突然の質問に戸惑いながら呟く。
さすが長門。次の瞬間には俺の隣に椅子を置き、ちょこんと座っていた。
俺の真横にいる長門の存在は、いつもより大きなものに感じた。
しんとした部室に響く長門の声。


「私は貴方を好む」


その凛とした声は耳の奥まで響いて胸の底ではじけた──。
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