短編

□傍においで
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『ねー、雅治』


「…んー…………」




あたしの彼氏様はテニス雑誌を読むことに夢中みたいでさっきからずっとこんなんだった。





(せっかく遊びにきたのに)




そっちがその気ならと、あたしもベッドに寝転べば雅治の匂いに包まれた。


仁王の方に背を向けて無駄だと分かりながら


『…雅治のばかやろー』


そう小さく呟いてみた、






「誰が馬鹿野郎じゃ」





その言葉に反射的に雅治の方に寝返ってしまった。
(だって反応するとは思わなかったから)


『聞こえてたの?』


「当たり前じゃ」


『じゃあなんで、』




反応してくれなかったの、
そう続けようとしたのに






唇を柔らかいもので塞がれて言葉を紡げなかった。


そしたら今度は身体が暖かいものに包まれて






「ほったらかしにしててすまんかったの」



愛しい彼の声が聞こえてきた。




傍においで、愛してあげる
(寂しかったか?)(…全然)
(嘘は駄目ぜよ)(え、…んっ)





→アトガキ
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