黒衣の貴族館


□楽屋裏にて
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「この前倒れたウォルグでございます。ご心配掛けて申し訳ありません」

「まったく、ちゃんと健康管理くらい出来ないのか」

「こたつに入った矢識様に云われても説得力が無いのですが」

「黙れ。…しかしこたつは暖かいな。Japaneseとは羨ましい所だ」

「そうですね。お蜜柑、召し上がられます…? 」

「ん?噂の蜜柑とは果物か。どれ…」

 矢識はウォルグに食べ方を教えて貰いながら果実を一粒口に入れてみる。

「!? …酸っぱいぞ! 」

 笑いを堪えながら自分も蜜柑の皮を剥き始める。

「そういう食物のようですよ。もう召し上がらないのですか? 」

「否、どれが甘いのか見分けようと思ってな」

 じっと一粒一粒眺めだす矢識。ウォルグは食べないと判らないとは言えず…。



「そういえば何か話が有るんじゃ無いのか? 」

「そうでした!忘れていました、すみません」

 ウォルグは胸ポケットから一枚の紙を取り出して机の上に広げて見せた。

「 『貴夜月家使用人の会』 を発足したいんですけど宜しいですか? 」

「…何をするんだ?」

「特に。早く言えば矢識様達のパクリです」

「それなら流隠に聞け」

「宜しいんですか?もしかしたら 『流隠様達を蹴散らそうの会』 かもしれないんですよ? 」

 蜜柑をウォルグ目がけて投げると見事に口の中でキャッチ。

「主人の投げた蜜柑の一粒ですら手にしようとする執事がそんな事するとは思えないがな」

 美味しそうに蜜柑を租借し終えて口を開いた。

「…また試すような事をしたのですか」

「黙れ、犬め」

「ええ、とても飼い馴らされているでしょう?」

 ふと目線が合って見つめ合う形になる。心臓が鳴っり、喉が渇いてきた。
 明日に続く。



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