第二章
□あじあん・クラスト27
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連れてこられたのはガラス張りの病室の前だった。
どこを向いても真っ白な部屋の中に人がいた。
「和喜!?」
「…知っているのかい?」
和喜はベッドの上で例のサングラスを着用して眠っていた。
その他にも色々なチューブやら針やらが取り付けられている。
その様子は痛々しかった。
「な、何これ……。和喜…、どこか悪いんですか?」
「原因不明なんだ。生まれた時から細菌に感染しやすい身体でね、一生この無菌室から出る事が出来ないんだよ。」
「そんな……。」
初めて会った時もそんな様子全然なかった。
「特定の人物しかここに入ることは出来ない。そして彼も一度もここから出たことが無い。
…それなのにどこから手に入れたのかあのゲームを隠れてやっていたんだ。」
さっき暴れていた女の人は和喜の母親なんだとも教えられた。
「君はこのゲームがトップシークレットになっている事を知っているかい?」
「え!?そうなんですか…?」
「ああ、政府がね、隠しているんだよ。」
「何で…」
「さぁ?政府にとってまずい事でもあるんじゃないのかい。」
「はぁ…」
何か…俺はすごくまずいゲームに手を出していたんじゃないのか?
「和喜君を知っているということは君がゲームをやっていたのは本当のようだね。
……おっと失礼」
ピピピビとなる電子音。
急患が入った院長さんにまた話がしたいと言われて明日会う約束をしてしまった。
院長さんの名前は須藤というらしい。
家に帰ると俺はさっそくパソコンを起動させてライト・プロジェクト株式会社を検索してみた。
しかし前あったはずのホームページはどこにも見つからなかった。
「何だよ…何でないんだよ………。」
バフッ
疲れた身体をベッドに沈める。
色々わからない事だらけだ。
「疲れたなー……。」
頭を枕に擦りつけて俺は眠った。