A

□9.扉
1ページ/2ページ

カタリ。


何かが当たった音が聞こえ、目を閉じて体を休めていたマキャヴィティは、薄く目を開いて顔だけを動かした。

住家にしているここは人間が物置にしている場所で、忘れさられているのか手を加えている気配はなかった。土埃が積み重なり、最初は駄目かと思っていたが、壁板が壊れて隙間が出来ると風通しがよくなり、住むのが可能になった。

以来、マキャはここに腰を落ち着かせていた。

扉代わりの板が揺れ、いつか外れはしないかと気にはなるが、その心配をよそに板はしぶとく張り付いている。
板と壁の間から見えるのは脇に生えている茂みの枝と葉。

それが当たったにしては、音は大きい。


カタン。


今度ははっきりと大きな音で聞こえた。自然なものではない。

誰かの手によって、起きたもの。

気配を探るが、誰なのか分からない。
仲間には自分の住家の場所は教えてある。
仲間の誰かが、わざとしているのかもしれない。


一体誰の仕業だろうか。


体を起こし、マキャは扉代わりの板を押して外に出る。
周りにぐるりと視線を巡らせるが、影は見当たらない。数歩前に進み、きょろきょろと目を動かす。

がさっと茂みの葉が揺れる音が聞こえ、マキャは小さく笑い、音源の方に顔を向けずにじっとする。

かさかさと、また音が聞こえてきた。
この周りにある茂みは背が低く、大人猫でも隠れる事はできる。

さて、誰だろうか。

マキャは茂みに隠れている仲間を予想する。

いたずら好きなコリコとギルか、はたまたジェミマとランペルとバブか、気まぐれタガーか。

他の何匹か想像できるが、単独なのかは分からない。

いや、知らない方がいいかもしれない。

「マーキャー!」

後ろから名前を呼ばれ、顔だけ振り向くと、視界が一気に黒くなる。

「は?」

と、呟くも虚しく、上空にいたものは重力の抵抗を失い、今度は無抵抗で更に加速と追加と、条件が重なり、マキャにふりかかる。

「っ!!」

あまりの重さにマキャは叫ぶのも忘れ、悶絶する。

「!マキャー!ちょっ、大丈夫かー!?」

上にのしかかっていたコリコパット、マンゴジェリー、ボンバルリーナは潰れた彼の体を揺さぶり、マキャを呼び起こす。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ