A
□9.扉
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カタリ。
何かが当たった音が聞こえ、目を閉じて体を休めていたマキャヴィティは、薄く目を開いて顔だけを動かした。
住家にしているここは人間が物置にしている場所で、忘れさられているのか手を加えている気配はなかった。土埃が積み重なり、最初は駄目かと思っていたが、壁板が壊れて隙間が出来ると風通しがよくなり、住むのが可能になった。
以来、マキャはここに腰を落ち着かせていた。
扉代わりの板が揺れ、いつか外れはしないかと気にはなるが、その心配をよそに板はしぶとく張り付いている。
板と壁の間から見えるのは脇に生えている茂みの枝と葉。
それが当たったにしては、音は大きい。
カタン。
今度ははっきりと大きな音で聞こえた。自然なものではない。
誰かの手によって、起きたもの。
気配を探るが、誰なのか分からない。
仲間には自分の住家の場所は教えてある。
仲間の誰かが、わざとしているのかもしれない。
一体誰の仕業だろうか。
体を起こし、マキャは扉代わりの板を押して外に出る。
周りにぐるりと視線を巡らせるが、影は見当たらない。数歩前に進み、きょろきょろと目を動かす。
がさっと茂みの葉が揺れる音が聞こえ、マキャは小さく笑い、音源の方に顔を向けずにじっとする。
かさかさと、また音が聞こえてきた。
この周りにある茂みは背が低く、大人猫でも隠れる事はできる。
さて、誰だろうか。
マキャは茂みに隠れている仲間を予想する。
いたずら好きなコリコとギルか、はたまたジェミマとランペルとバブか、気まぐれタガーか。
他の何匹か想像できるが、単独なのかは分からない。
いや、知らない方がいいかもしれない。
「マーキャー!」
後ろから名前を呼ばれ、顔だけ振り向くと、視界が一気に黒くなる。
「は?」
と、呟くも虚しく、上空にいたものは重力の抵抗を失い、今度は無抵抗で更に加速と追加と、条件が重なり、マキャにふりかかる。
「っ!!」
あまりの重さにマキャは叫ぶのも忘れ、悶絶する。
「!マキャー!ちょっ、大丈夫かー!?」
上にのしかかっていたコリコパット、マンゴジェリー、ボンバルリーナは潰れた彼の体を揺さぶり、マキャを呼び起こす。