『管理人恐怖体験談』

□おかえり
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いつものように布団を畳みながら、祖父母が会話をしている声とコーヒーの香りで目が覚めました。

祖父『あ、起きたか?』
いつも通りの祖父の優しい声に安心しました。
その後でした。
朝食を食べながら新聞を読んでいた祖父がふとページをめくる手を止め『昨日おかしな夢を見た…Aが戦争から帰ってきたって言って、この家に来たんだ』(Aというのは戦死した祖父の弟さんです)
『!!』
私は全身に鳥肌がたちました…信心深い祖母は何の疑いもなく『お盆だから帰って来られたのかもね』と言っていましたが、私が昨夜見た事を事細かに話すと、祖父は涙を流しながら『戦死した人の骨は本人の物とは限らないんだ…葬式なんかもちろんしないし、たくさんの人が亡くなったような時は、亡くなった人間をまとめて焼いて(良く言えば、火葬という意味だと思います)どれが誰だか判らない骨を適当に白木の箱に入れて家族に送り返すんだ…戦争が終わって50年近く…やっと帰って来られたのかも知れない…』と話してくれました。私は映画などでしか見た事がなかったですが、本当にそんなことがあったんだと思い、とても悲しくなりました…と同時に昨日は無意味に怖がったりして、悪かったかなと少し反省しました…お彼岸には再度祖父母の家に泊まりに行き、3人でAさんのお墓参りに行ったんですが、その時祖父がお墓に向かって『おかえり…』と言っていたのが印象的だったので書かせてもらいました。

これが私の幽霊初体験です。
駄文失礼。
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