□キリリクetc
□熱、呼吸
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淡い水色の遮光カーテンから薄く光の筋が漏れる。
「ん……」
ぱちっ。と珍しく瞳を開いたのは隣で寝ている兄の彩斗ではなく、朝なかなか起きないことで手を焼かれている弟の熱斗だった。
「ん〜…」
すうっ、と再び瞳を閉じてもう一眠りしようともぞもぞと深く布団を被る。
けれど、変な違和感を感じて熱斗はもそっと布団から起き上がった。
「ふぁ…っ…」
体が熱かった。
寝起き特有の温かさではなく、熱い。
自分の額に触れようと右手を動かそうとするが、腕が重くて動かすのが辛い。
「かぜ…引いたかな…」
ぼーっとする頭で考える。
昨日お風呂上がりに暑かったからってパジャマを着ないで寝たのがまずかったのだろうか?
深く息を吐いて、布団にぽすんと倒れる。
「……っ?」
苦しくて胸を押さえると、くしゃりと何かを握り締めた。
「パジャマ…」
今まで着てないとばかり思っていたのだが、いつの間にか誰かが着せてくれたのだろう。
彩斗とお揃いの青いパジャマを上下ともしっかり着用していた。
と言うことは一番の原因は髪を乾かさなかった事だろうか。
「んんっ…」
ずきん、と頭に鈍い痛みが走った。
ずきん、ずきん、と鈍い痛みは繰り返し熱斗を襲う。
「──っぁ…!」
がんがんと響く痛みも襲うようになってきて、熱斗は呼吸をするのもだるく、深く深呼吸を繰り返した。
「っは…うっ…はぁ…」
こんな事なら昨日大人しく彩斗の言うようにパジャマを着ればよかった。
髪を乾かせばよかった。
そう思ってももう遅い。
「っう…」
きゅうっ、と熱斗は自分に背を向けて眠る彩斗のパジャマの裾を握り締めた。
「さ…と、にい…さ…」
熱に浮かされて頭がぼーっとする。
とろん、とした熱斗の瞳は次第にゆっくりとその瞳を閉じた。