七夢

□隙間
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【隙間】


窓辺に、ひとりの少女が座っていた。少女は顔を上げて、空を見ていた。冬の灰色した空。見ていて何がいいのかと思う。

人々は、自分のことを気にしている。また、物欲があった。あれが欲しい。これが欲しい。あの人のそばにいたい。近づきたい。

少女は泣いた。自分のためじゃなく、周りの人々のためだった。日に日に鈍くなっていく精神に、少女は心を痛めた。
泣くことによって、心に隙間ができるという。少女はどんな隙間を作ったのだろう。その隙間に何を入れるのだろう。

ひとりの少年のことを想った。無防備な寝顔に癒された日があった。自然な愛情が、底から湧き上がってくる感じがした。

少女に日差しが降りそそぐようになった。冷たい北風が通り過ぎてゆく。帰りたくても帰る場所がない。そんなさまよう風達。
強くなるよ。未来にはきっと強くなってみせる。少女はそう誓った。



(2009年1月16日完成)
 

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